国庫補助金をはじめとする
国庫支出金は、本県財政において
歳入決算の2割程度を占める主要で貴重な財源であります。しかしながら、令和3年度の
国土交通省所管の
道路事業補助金について、
国費受入れ手続不備により当該年度の歳入処理が行われず、24億8,600万円余もの歳入欠陥を生じました。既に
国費事務に係る全庁的な
再発防止策が講じられているところでありますが、改めて職員の意識改革を図り、
国費事務に係る改善策の運用を徹底するとともに、組織体制を整えるなど、今後さらなる
業務適正化、内部統制を推進されるべきであります。
審査意見は以上でございます。
◯議長(
内田博長君)以上で、
決算審査特別委員長の
審査報告は終わりました。
ただいまの
委員長報告に対する質疑の通告はありませんので、これより討論に移ります。
それでは、討論の通告がありますので、発言を許します。
6番
市谷知子議員
◯6番(
市谷知子君)(登壇)
日本共産党の
市谷知子です。令和3年度決算の認定に対する反対討論を行います。
まず、議案第19号です。
令和3年度は、
新型コロナ2年目を迎え、多くの死者を出したデルタ株第五波、その後の
オミクロン株第六波、変異のたびに感染力が増し、コロナから命と暮らしを守ることが問われた1年となりました。そうした目で予算や事業を振り返ってみます。
まず、
新型コロナ対策です。関係者の努力で、
最大確保病床数、1日の
最大検査能力、診療・
検査医療機関の登録率はいずれも全国上位となりました。また、
平井知事県政史上初めて
職員定数が増え、保健師は非常勤も含め19名を採用し、各保健所に配置されたことは大きく評価できます。また、政府が
自宅療養方針を打ち出したときにも、知事は原則入院を貫き、
メディカルチェックセンターで病状を
チェックして療養先を決めることや、
臨時医療施設の開設など
医療提供に努力され、当初はなかった
無料PCR検査所も今、115か所に広がっています。しかし、病床はコロナ前に策定した
地域医療構想の下、
高度急性期・
急性期病床は215床減少し、医師、看護師は増えていますが、医師の充足率は86%と足りません。
また、
国民健康保険は、県の
独自支援はなく、県への
納付金負担が9市町村で増え、6市町村で保険料が上がりました。それなのに、第2期鳥取県
国保運営方針に、保険料が上がることが懸念される保険料の統一に向けた
ロードマップの作成を盛り込んだことは問題です。
福祉では、低所得世帯への
燃料代助成、ヤングケアラーや
独り親家庭、ひきこもり、
性暴力被害者への
支援体制が充実したことはよかったです。一方、自死が女性で特に増えました。1万人以上が
コロナ生活福祉資金を借り、それでも生活困窮する場合に出る支援金は13世帯だけ。年明けから
コロナ生活福祉資金の返済が始まります。抜本的な
経済的支援が必要です。
また、
コロナ禍、仕事が減って苦しんだ
障害者作業所を支援する予算は3分の1しか使われず、平均工賃が低下、工賃への補助が必要です。
子育てでは、子供の貧困は
就学援助率で見ると、7人に1人の子供が貧困状態です。
生活保護世帯の
大学進学率は県平均の半分の26%、
高校通学費助成や5町で
学校給食費が無償化されてきていますが、
給付奨学金も含め、
経済的支援を強めるべきです。
また、保育士は
有効求人倍率が2倍を超え、保育士が足りません。保育所で働く無資格の
子育て支援員が
制度開始から5倍に増えたことは問題です。
また、
児童相談所での性的虐待問題以後、職員は増えましたが、その後、児相が措置した子供が自死しました。対応に問題があります。
教育では、1人1台端末が整備されましたが、
県立学校のトイレの洋式化50%以下が17校もあります。
いじめは減少していますが、学校での暴力行為の出現率は全国の2倍以上、小中学校の不登校はこの10年で過去最大、長期欠席は、小中学校で1,537人に上っています。この中、全国及びとっとり学力・
学習状況調査は継続実施され、
学力向上対策会議の新設、活用力の問題集がバージョンアップされ、それを使った授業が繰り返され、県教委が学校訪問して
チェックをする。また、とっとり学力・
学習状況調査は、個の伸びを見るためのものだと言いながら、結局、学年や学校を比較しています。
学校現場は、
学力対策でもういっぱいいっぱいではないでしょうか。テストではなく、子供一人一人を中心に据え、ゆとりが持てる
教員配置や
スクールカウンセラーの
全校配置が必要です。
経済では、中小業者へのコロナゼロゼロ融資の発動、全業種対象の応援金はよかったのですが、税金の
コロナ特例猶予が終了し、業者が納税に苦しんでいます。その一方で、
コロナ禍、見通しのない
インバウンド政策に予算が組まれましたが、
外国人観光客は約7割減少、1.8億円の
東京オリパラ事前キャンプの予算は半分を使い残しました。税金の充て方がゆがんでいます。
農林業では、
収入保険料の補助、
主食用米と
飼料用米との差額補填、肉用牛の所得補償の
上乗せ支援、
ウッドショックへの補填は、農家や業者の助けとなりました。しかし、
コロナ禍で輸出も難しいのに、国から
競争力強化の
TPP対策予算が来て、ほぼ翌年度に繰り越され、その後も執行率が3割やゼロの事業もあります。こうした非効率な予算と事業は大問題です。
次に、
生活環境です。とっとり
環境イニシアティブプランで、2030年
CO2排出削減目標を40%から60%に引き上げ、住宅や
県有施設での省エネ、再エネが進みました。しかし、
廃棄物行政では、
淀江産廃の
地下水調査が行われ、計画地の地下水は
福井水源地に行かないとの調査結果が出ましたが、納得のいく
住民説明が行われていません。そして、産廃は、
削減計画があるのに、ごみが増えています。県が
産廃処分場を推進し、
排出事業者の責任を曖昧にしていては、産廃は減りません。県が関与する
淀江産廃計画は、やはり中止すべきです。
また、上下水道では、広域化・
共同化計画案が検討され、広域化で料金が抑制できるとしていますが、値上げ幅を抑えるだけで、値上げは必至です。それなのに、国も県も市町村に計画を迫るばかりで、
財政支援について一切触れず、
住民説明もなく計画案が作られたことは大問題です。
島根原発では、中国電力からの
寄附金合計11.8億円のうち7割が県職員の人件費に充てられ、中国電力との安全協定の改定は結局、
事前了解権が得られないまま、知事は2号機の再稼働を容認しました。中電からお金をもらって、本当に毅然とした態度が取れたのでしょうか。今からでも再稼働中止を求めるべきです。
次に、
災害対策では、激甚災害となった7月豪雨などの災害復旧、減災・防災5か年計画による対策、通学路の
安全対策が前進しました。熱海の
土砂崩落事故を受けて
盛土条例が制定され、大規模風車も規制対象となりました。そして、
災害ケースマネジメントの全県展開。しかし、肝腎の
常備消防職員は国指針の64.7%にとどまったまま。
消防職員を増やすべきです。
人権では、
性的マイノリティーの
居場所づくり、女性の権利、生理の
貧困対策で生理用品の無償配布が7市町村で行われ、学校のトイレには、境港、智頭、琴浦、日南、そして、
鳥取工業高校で配備されました。
また、男女の賃金格差は78%から83%に縮まりましたが、男性の賃金が下がったことが原因です。男女平等、そして、全ての個人の権利保障の探求が必要です。
県政運営では、
西部総合事務所の新棟や米子新体育館の整備に
PFI導入が決定しましたが、教育船若鳥丸や調査船第一鳥取丸は直営で整備することになり、
経費削減や民間の利潤追求のPFIでは公的責任の全うが難しいということも明らかとなりました。
また、県職員の働き方は、総労働時間は123%、残業は124%、残業100時間超え199%、
コロナ残業約2倍、メンタルヘルスの相談は1.4倍、それなのに、県職員の
期末勤勉手当を引き下げ、知事や議員の期末手当は引き下げませんでした。全体の奉仕者として
コロナ対策に大奮闘している県職員に対し、あまりにひどい対応です。職員の処遇と数を増やすべきです。
最後に、議会です。
政務調査費を使って
統一教会系の会合に参加している議員がいます。
福井県議会や
長野県議会では自主返還しています。
鳥取県議会でも対応すべきです。
次に、
継続議案第14号、
天神川流域下水道事業特別会計決算は、下水汚泥を使った
複合バイオマス発電は
関係町議会から反対の声が上がり、返事ももらえない膠着状態です。
また、
継続議案第15号、
企業会計決算は、大規模な水力発電のPFI、
民間活力導入は全国的にも驚かれています。だからこそ、モニタリングや
チェックが必要なのに、県職員を削減してしまいました。
以上の理由から、議案第14号、第15号の決算の認定に反対であることを述べ、私の討論を終わります。
◯議長(
内田博長君)この際、議長より申し上げます。
先ほどの
市谷議員の発言中、適切でないと思われるものがありました。ついては、後刻、記録を精査の上、必要があれば、適切な措置を取ることといたします。
これをもって、討論を終結いたします。
これより、順次、起立により採決いたします。
まず、9月
定例会議案第14号「令和3年度鳥取県
天神川流域下水道事業会計決算の認定について」及び今
定例会議案第19号「令和3年度決算の認定について」は、
委員長報告のとおり認定することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立多数であります。よって、以上2議案は、
委員長報告のとおり認定することに決定いたしました。
次に、9月
定例会議案第15号「令和3年度鳥取県
営電気事業会計未
処分利益剰余金の処分及び令和3年度鳥取県
営企業決算の認定について」は、
委員長報告のとおり可決及び認定することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立多数であります。
よって、本議案は、
委員長報告のとおり可決及び認定することに決定いたしました。
次に、9月
定例会議案第16号「令和3年度
鳥取県営病院事業決算の認定について」は、
委員長報告のとおり認定することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立全員であります。
よって、本議案は、
委員長報告のとおり認定することに決定いたしました。
なお、
決算審査特別委員長から、今後の行財政の運営及び
公営企業の経営に当たり、特に留意すべき点について指摘し、当局において速やかに検討または改善すべき事項について報告がありましたが、この報告書を知事に送付し、改善を求めることに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立全員であります。
よって、
決算審査特別委員長の報告書を知事に送付し、改善を求めることに決定いたしました。
次に、議案第1号「令和4年度鳥取県
一般会計補正予算(第6号)」から第18号「
当せん金付証票の発売について」まで及び議案第20号「鳥取県孤独・孤立を防ぐ温もりのある
支え愛社会づくり推進条例」から議案第22号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」まで並びに請願、陳情を一括して議題といたします。
まず、各
常任委員長に順次審査結果の報告を求めます。
福祉生活病院常任委員長尾崎薫議員
◯福祉生活病院常任委員長(尾崎薫君)(登壇)皆様、おはようございます。
本会議から、
福祉生活病院常任委員会に付託されました諸議案並びに請願、陳情につきまして、慎重に審査をいたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
今回提案のありました諸議案のうち、本
委員会所管の議案第1号「令和4年度鳥取県
一般会計補正予算(第6号)」、議案第4号「令和4年度鳥取県
天神川流域下水道事業会計補正予算(第1号)」、議案第8号「令和4年度
鳥取県営病院事業会計補正予算(第3号)」、議案第9号「鳥取県
新型コロナウイルス感染拡大防止のための
クラスター対策等に関する条例の一部を改正する条例」、議案第14号「鳥取県
手数料徴収条例の一部を改正する条例」及び議案第20号「鳥取県孤独・孤立を防ぐ温もりのある
支え愛社会づくり推進条例」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議案第20号「鳥取県孤独・孤立を防ぐ温もりのある
支え愛社会づくり推進条例」は、本条例の施行に当たっては、住民に身近な市町村の役割が極めて重要であるが、各市町村において直面する状況も多様であり、取組の
実施状況や充実度など、
包括的支援体制の構築に向けた歩みが一様でないことを踏まえ、改めて県において速やかに市町村の理解を得ながら、市町村及び
関係団体等との
有機的連携を十分に図るとともに、
地域共生社会の実現に向けて本条例の実効性を確保するよう努めることとの
附帯意見を付すべきと決定いたしました。
次に、請願、陳情について、その結果を御報告申し上げます。
今回新たに提出されました陳情は1件でございました。
陳情4年子育て・人財第25号「子どものために
保育士配置基準の引き上げによる
保育士増員を求める意見書の提出について」は、本県では、
保育現場からの要望に基づき、市町村と協力して1歳児及び3歳児の加配を可能とする単県助成を実施してきましたが、3歳児加配については、平成27年度以降、国の公定価格の創設により給付されることとなったため、単
県助成制度を廃止しています。
また、
保育現場から要望が出ている4・5歳児加配については、国の子ども・
子育て支援新制度における「質の向上」の検討項目に盛り込まれており、県としても、保育士のさらなる処遇改善、及び4・5歳児の
配置基準をはじめとした
保育士配置基準のさらなる改善を実行するよう、令和4年7月に国に要望しており、現時点で県議会から国に重ねて意見書を提出するには及ばないとの意見が多数であり、不採択と決定いたしました。
なお、本
委員会所管に係る
新型コロナウイルスへの対応、
社会福祉の向上、
子育て支援、
生活環境の保全、
病院事業、その他の
主要事業については、閉会中もこれを継続調査するべきものと決定し、別途、議長に申し出ておきました。
これをもちまして、本委員会の審査結果の報告を終わります。
◯議長(
内田博長君)
農林水産商工常任委員長松田正議員
◯農林水産商工常任委員長(松田正君)(登壇)本会議から、
農林水産商工常任委員会に付託されました諸議案並びに請願、陳情につきまして、慎重に審査をいたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
今回提案のありました諸議案のうち、本
委員会所管の議案第1号「令和4年度鳥取県
一般会計補正予算(第6号)」、議案第5号「令和4年度鳥取県
営電気事業会計補正予算(第2号)」、議案第6号「令和4年度
鳥取県営工業用水道事業会計補正予算(第1号)」、議案第7号「令和4年度
鳥取県営埋立事業会計補正予算(第1号)」、議案第10号「鳥取県税条例及び鳥取県
附属機関条例の一部を改正する条例」、議案第12号「鳥取県
営境港水産物地方卸売市場の設置等に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第17号「
地方独立行政法人鳥取県
産業技術センター中期目標の制定について」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、請願、陳情について、その結果を御報告申し上げます。
今回新たに提出されました陳情は1件でございました。
陳情4年
商工労働第22号「
仮想通貨取引所の監督の強化と、顧客資産の分別保管の徹底に係る意見書の提出について」は、個人が保有する暗号資産(
仮想通貨)を保護するための対策については、国は既に関連法令を改正し、今回破綻した
FTXトレーディングの
日本法人に対しては、当該法律に基づき、
業務停止命令、資産の
国内保有命令を発出する等、所要の対策を既に取っていることから、不採択と決定いたしました。
なお、本
委員会所管に係る商工業及び
農林水産業の
振興対策並びにその他の
主要事業については、閉会中もこれを継続調査すべきものと決定し、別途、議長に申し出ておきました。
これをもちまして、本委員会の審査結果の報告を終わります。
◯議長(
内田博長君)
地域づくり県土警察常任委員長川部洋議員
◯地域づくり県土警察常任委員長(川部洋君)(登壇)本会議から、
地域づくり県土警察常任委員会に付託されました諸議案並びに請願、陳情につきまして、慎重に審査をいたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
今回提案のありました諸議案のうち、本
委員会所管の議案第1号「令和4年度鳥取県
一般会計補正予算(第6号)」、議案第3号「令和4年度鳥取県
港湾整備事業特別会計補正予算(第1号)」、議案第11号「
鳥取県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」、議案第13号「鳥取県
営鳥取空港の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」、議案第14号「鳥取県
手数料徴収条例の一部を改正する条例」、議案第15号「
損害賠償に係る和解及び
損害賠償の額の決定について」、議案第16号「
事業契約(鳥取県
西部総合事務所新棟・
米子市役所糀町
庁舎整備等事業)の締結についての議決の一部変更について」及び議案第21号「鳥取県
個人情報保護条例」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、請願、陳情について、その結果を御報告申し上げます。
今回新たに提出されました陳情は2件ございました。
まず、陳情4年
危機管理第23号「北朝鮮の
ミサイル発射に係る意見書の提出について」は、国においては、北朝鮮による
弾道ミサイル発射などのたびに、在
北京北朝鮮大使館や中国政府を通じて厳重に抗議しており、本県議会から重ねて措置を求めるまでもないことから、本件陳情は不採択とすることに決定いたしました。
次に、陳情4年警察第24号「
自賠責保険制度の適切かつ
安定的運営に係る意見書の提出について」は、国においては、
自賠責保険制度に係る
財政運営の
安定性確保に向けて、
一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しに継続して取り組むこと、自動車安全特別会計の事業の運営上、予期しない資金手当の必要が生じると見込まれる場合は、繰り上げて必要額を繰り戻すことなどが財務大臣、国土交通大臣の間で合意されており、本県議会から重ねて措置を求めるまでもないことから、本件陳情は不採択とすることに決定いたしました。
なお、本
委員会所管に係る関係人口の拡大、観光振興、中山間地域をはじめとする地域振興、道路網・河川等の整備、交通安全、防災並びにその他の
主要事業については、閉会中もこれを継続調査すべきものと決定し、別途、議長に申し出ておきました。
以上をもちまして、本委員会の審査結果の報告を終わります。
◯議長(
内田博長君)
総務教育常任委員長常田賢二議員
◯
総務教育常任委員長(常田賢二君)(登壇)本会議から、
総務教育常任委員会に付託されました諸議案につきまして、慎重に審査いたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
今回提案のありました諸議案のうち、本
委員会所管の議案第1号「令和4年度鳥取県
一般会計補正予算(第6号)」、議案第2号「令和4年度鳥取県給与集中管理特別会計補正予算(第1号)」、議案第10号「鳥取県税条例及び鳥取県
附属機関条例の一部を改正する条例」、議案第18号「
当せん金付証票の発売について」及び議案第22号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」は、いずれも妥当なものと認め、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本
委員会所管に係る行
財政運営や学校教育の諸問題、その他の
主要事業については、閉会中もこれを継続調査すべきものと決定し、別途、議長に申し出ておきました。
これをもちまして、本委員会の審査結果の報告を終わります。
◯議長(
内田博長君)以上で、各
常任委員長の
審査報告は終わりました。
ただいまの
委員長報告に対する質疑の通告はありませんので、これより、討論に移ります。
それでは、討論の通告がありますので、発言を許します。
6番
市谷知子議員
◯6番(
市谷知子君)(登壇)
日本共産党の
市谷知子です。次の議案の討論を行います。
まず、議案第1号、補正予算です。
今回の補正予算は、国の総合経済対策と第2次補正予算を受けたものであり、総額378億円のうち
国庫支出金が約6割の225億円と、ほぼ国のひもつき予算となっています。同時に、新たに国から地方交付税が40億円も追加配分され、これは県が自由に使えるお金です。今、物価高騰で県民生活は本当に深刻な事態です。物価高騰の苦しみから県民を守る実効性ある予算になっているのかが問われます。そうした目で見ると、物価高騰対策の最大の予算は全国旅行支援の30億円、県も
一般会計から10億円を拠出し、県外の旅行者に旅費の割引やクーポン券をばらまいています。一方、県民への直接支援は、肥料代や養殖用の魚の餌代への補助、合計約1億円だけです。これでいいのでしょうか。そして、物価高騰で苦しむ中小業者や農家に対し、物価高騰を招いた円安はチャンスなのだからとして、輸出や
競争力強化の新たな取組に合計36億円の事業が組まれていますが、どれだけの業者や農家が使えるのでしょうか。物価高騰対策の実効性に疑問を感じます。
また、生活支援では、来年1月からコロナの生活福祉資金の返済が本格化しますが、国から来た支援は相談員の増員だけで、県が求めてきた返済免除の対象拡大に国は応えていません。
また、妊娠、出産をしたら10万円相当の給付がありますが、妊娠、出産をしない子育て世帯には何もありません。やはり国が責任を持って消費税減税や実効性ある賃上げ策、医療、介護、子育て、
農林水産業に対する負担軽減策を実施し、また、県も物価高騰対策の予備費を10億円も積み増すのではなく、追加地方交付税と合わせて、もっと直接支援をすべきです。
また、
新型コロナ対策では、感染力の強い新系統の
オミクロン株が広がり、昨日、新規陽性者数は過去最大の1,582人となりました。重症者はゼロ報告ですが、死亡者は増えています。病床確保の予算や県コンタクトセンターへの非常勤医師の配置は必要なことです。
また、夜間中学校の開設準備、特別支援学校のトイレやエアコンの改修、教室不足の解消、幼稚園送迎バスでの児童置き去り事件を受けての安全装置の設置、通学路の
安全対策、除雪費用、農業用ハウスの
災害対策に対する備え、これは県民の安心・安全にとって必要なことです。しかし、先ほど決算のときにも言いました、とっとり学力・
学習状況調査は個の子供の伸びを見ると言っていたのに、結局、クラスや学校を比較しています。その対策に追われて教師が多忙となり、子供一人一人に目が行き届きにくくなることが懸念され、私はやめるべきだと考えます。
最後に、安倍元総理の国葬への知事、議長の参加費が、たった2人で1日なのに約30万円、11月に支出されていたことが住民監査請求で明らかになりました。立憲主義に反すると、弁護士有志の皆さんが返還を求める訴訟を起こしました。そのことを申し添え、議案第1号、補正予算に反対します。
次に、議案第2号と22号です。
これらは、人事委員会の勧告に沿って、民間より低い県職員の給与と勤勉手当を引き上げるものです。賛成です。ただ、しかし、知事の給与と手当の引上げもセットになっています。知事の引上げには異議があります。しかし、本予算はほとんどが県職員給与の引上げ分となっておりますので、賛成をいたします。
次に、議案第10号、県税条例の改正です。
国の森林環境税が新設され、今回名称変更される県税の豊かな森づくり協働税と、この2つの森林の目的税を県民は払うことになります。森林の多面的機能の維持は生命維持にも関わることであり、課税を否定するものではありませんが、公共性が高いものであり、本来、一般財源で賄うべきだと考えます。
また、国の森林環境税は、CO2の大量排出元である企業からは取りません。県税でも取っているのに、国税だからこそ、全国の大企業からしっかり取るべきだと思います。
また、もう一つ、今回、
産廃処分場税の延長が提案されています。因幡環境整備から、排出抑制が税の目的なら、中間処理業者でなく、
排出事業者から税を取るべきとの意見が出ていますが、全くそのとおりと思います。現在、県外の排出業者が税金を払わず、県内に産廃を持ち込んでいることがあります。そして、この
産廃処分場税は、淀江
産廃処分場の周辺整備に使われる予定です。税金を払っていない県外の排出業者が、県内の淀江
産廃処分場を使うことになってしまいます。このままではいけません。そして何より、産廃を減らし、環境負荷を低減するためには、やはり排出業者への課税が必要です。よって、改善が必要であることから、本議案に反対です。
次に、議案第20号、鳥取県孤独・孤立を防ぐ温もりのある
支え愛社会づくり推進条例です。
当初、孤独や孤立の問題を家庭支援という、言わば家庭に責任を求めるような名称ではありましたが、条例の目的で、個人として尊重され、健康で文化的な生活を営み、自己実現や社会参加できる社会をつくろうと、個人を社会としてしっかり支えるのだと、この条例に規定されたことは大変意義深いと考えます。同時に、理念条例に終わらせないためにも、実効性を担保することが必要です。責任を持って推進する県の体制や、県から市町村への
支援体制を確立すること、また、関係者の意見をよく聞いて具体的な施策をつくり、必要な予算を県がしっかりつけること、これらを強く希望し、賛成いたします。
最後に、陳情4年25号の
委員長報告に対する反対討論を行います。
本陳情は、保育士の
配置基準の改善を求めるものです。日本の
保育士配置基準は、世論に押され、改善はされてきてはいますが、戦後間もなくの古い基準がベースになっていて、世界的に見ても大変遅れています。歩き始める1歳児は、日本はいまだに1人の保育士で6人の子供を見る基準ですが、イギリスでは半分の3人、3歳児は日本は20人ですが、イギリスは7人、4歳児は日本は30人ですが、イギリスは8人です。県は以前から独自に、1歳児については国基準の6人を4.5人に、3歳児は20人を15人に改善してきていて、3歳児については、後で国の制度が追いついてきました。しかし、4・5歳児についてはいまだに改善されておらず、平成24年に国の子ども・
子育て支援新制度の検討項目には盛り込まれましたが、10年たった今も改善されていません。この間、幼稚園バスでの置き去り事件や保育施設での虐待事件が相次いでいます。その背景には、保育士などの職員の体制が薄いことが指摘をされています。県が
保育士配置基準の改善を国に求めているからと、それ任せだけにするのではなくて、二元代表の県議会としても、子供たちの健やかな成長を保障するため、改善を求める意見書を上げるべきと考えます。よって、陳情の採択を求め、私の討論を終わります。
◯議長(
内田博長君)これをもって討論を終結いたします。
これより、議案並びに請願、陳情について採決いたします。
まず、議案について、順次起立により採決いたします。
まず、議案第1号「令和4年度鳥取県
一般会計補正予算(第6号)」、議案第10号「鳥取県税条例及び鳥取県
附属機関条例の一部を改正する条例」及び議案第21号「鳥取県
個人情報保護条例」は、
委員長報告のとおり、原案を可決することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立多数であります。
よって、以上3議案は、原案のとおり可決されました。
次に、議案第16号「
事業契約(鳥取県
西部総合事務所新棟・
米子市役所糀町
庁舎整備等事業)の締結についての議決の一部変更について」は、
委員長報告のとおり、原案を可決することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立多数であります。
よって、本議案は、原案のとおり可決されました。
次に、議案第2号「令和4年度鳥取県給与集中管理特別会計補正予算(第1号)」から議案第9号「鳥取県
新型コロナウイルス感染拡大防止のための
クラスター対策等に関する条例の一部を改正する条例」まで、議案第11号「
鳥取県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」から議案第15号「
損害賠償に係る和解及び
損害賠償の額の決定について」まで、議案第17号「
地方独立行政法人鳥取県
産業技術センター中期目標の制定について」、議案第18号「
当せん金付証票の発売について」、議案第20号「鳥取県孤独・孤立を防ぐ温もりのある
支え愛社会づくり推進条例」及び議案第22号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」は、
委員長報告のとおり、原案を可決することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立全員であります。
よって、以上17議案は、原案のとおり可決されました。
次に、
附帯意見について採決いたします。議案第20号「鳥取県孤独・孤立を防ぐ温もりのある
支え愛社会づくり推進条例」については、
委員長報告のとおり
附帯意見を付することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立全員であります。
よって、
附帯意見を付することに決定いたしました。
次に、請願、陳情について採決いたします。まず、陳情4年
危機管理第23号「北朝鮮の
ミサイル発射に係る意見書の提出について」及び陳情4年子育て・人財第25号「子どものために
保育士配置基準の引き上げによる
保育士増員を求める意見書の提出について」は、
委員長報告のとおり決定することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立多数であります。
よって、以上の陳情は
委員長報告のとおり決定いたしました。
次に、陳情4年警察第24号「
自賠責保険制度の適切かつ
安定的運営に係る意見書の提出について」は、
委員長報告のとおり決定することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立多数であります。
よって、本陳情は
委員長報告のとおり決定いたしました。
次に、陳情4年
商工労働第22号「
仮想通貨取引所の監督の強化と、顧客資産の分別保管の徹底に係る意見書の提出について」は、
委員長報告のとおり決定することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立多数であります。
よって、本陳情は
委員長報告のとおり決定いたしました。
なお、各
常任委員長から所管事項について、議長の元にそれぞれ閉会中も継続調査いたしたい旨、申出がありました。
ついては、各
常任委員長からの申出のとおり、所管事項について、それぞれ閉会中の継続調査に付することに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議はないものと認めます。
よって、これらの事項は閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。
次に、議案第24号「鳥取県教育委員会委員の任命について」及び第25号「鳥取県収用委員会委員の任命について」を一括して議題といたします。
これより、これらの議案について起立により採決いたします。
議案第24号及び第25号は、原案に同意することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立全員であります。
よって、以上2議案は、原案に同意することに決定しました。
議員提出議案3件が提出されております。
お諮りいたします。
この際、これらを本日の議事日程に追加することに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議はないものと認め、さよう決定いたします。
それでは、まず、斉木正一議員、伊藤保議員及び銀杏泰利議員ほか23名提出の議員提出議案第1号「
鳥取県議会個人情報保護条例」を議題といたします。
本件について、提案理由の説明を求めます。
23番斉木正一議員
◯23番(斉木正一君)(登壇)それでは、提案者を代表いたしまして、議員提出議案第1号「
鳥取県議会個人情報保護条例」の提案理由の御説明を申し上げます。
個人情報の保護に関する法律が改正され、令和5年4月から、各地方自治体に同法が適用されますが、議会は、同法の直接の適用対象とはなりません。このため、議会における、個人情報を保護するための規程は、別途、整備する必要がございます。
今回提案いたしました条例案は、
鳥取県議会における、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な事項を定めるとともに、
鳥取県議会が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める個人の権利を保障するものです。デジタル社会の進展により、個人情報の利用が著しく拡大している近年の社会情勢や、個人情報保護制度に対する県民の関心の高まりなどを踏まえ、議会の事務の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護するため、本条例を制定しようとするものであります。
以上、提案理由の説明とさせていただきます。
◯議長(
内田博長君)以上で提案理由の説明は終わりました。
お諮りいたします。
本件については質疑及び討論の通告はありませんので、委員会付託を省略して直ちに採決に移ることに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議はないものと認め、さよう決定いたします。
議員提出議案第1号「
鳥取県議会個人情報保護条例」は、原案のとおり可決することに賛成の議員の起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
起立全員であります。
よって、議員提出議案第1号は、原案のとおり可決されました。
次に、斉木正一議員、伊藤保議員及び銀杏泰利議員ほか23名提出の議員提出議案第2号「
鳥取県議会議員の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」及び伊藤保議員ほか7名提出の議員提出議案第3号「マイナンバーカードの普及状況を地方交付税や各種交付金に反映させることに反対の意見書」を一括して議題といたします。
お諮りいたします。
議案第2号については、提案理由の説明を省略することに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議はないものと認め、さよう決定いたします。
議案第3号について、提案理由の説明を求めます。
9番森雅幹議員
◯9番(森雅幹君)(登壇)議員提出議案第3号「マイナンバーカードの普及状況を地方交付税や各種交付金に反映させることに反対の意見書」について、議案提出者を代表して、提案理由を御説明申し上げます。
政府は、来年度以降の普通交付税の算定に、各自治体のマイナンバーカード交付率を反映させる方針を示しています。地方交付税は、地方自治体が行政サービスを行う財源を保障するために、国が地方自治体の代わりに徴収し、財源の不均衡を調整する地方固有・共有の財源であります。補助金と同様に地方交付税を利用して自治体に圧力をかけ、強引に政策誘導する手法は、地方自治の理念、交付税の精神に反すると言わざるを得ません。
また、地方創生などに関連する3つの交付金をデジタル田園都市国家構想交付金として再編することとしていますが、マイナンバーカードの普及等デジタル社会の基盤の状況を同交付金による支援に際して評価することについて検討するとして、同交付金の採択に当たって、マイナンバーカードの普及状況を勘案しようとしています。マイナンバーカードの取得はあくまでも国民の任意の申請に基づくものであり、カードの普及率向上に向けた取組の責任があたかも自治体にあるかのような姿勢は問題です。政府目標を達成するため、地方交付税や各種交付金を利用して自治体に圧力をかけ、強引に政策誘導する手法は、地方自治の理念に背くものであり、厳に行わないよう関係機関に意見書を提出しようとするものです。
議員各位の賛同を求め、提案といたします。
◯議長(
内田博長君)以上で提案理由の説明は終わりました。
お諮りいたします。
議案第2号及び第3号については、質疑の通告はありませんので、委員会付託を省略して直ちに討論に移ることに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議はないものと認め、さよう決定いたします。
それでは、討論の通告がありますので、発言を許します。
6番
市谷知子議員
◯6番(
市谷知子君)(登壇)
日本共産党の
市谷知子です。議員提出議案の討論を行います。
まず、議員提出議案第2号です。
本議案は、議員報酬を0.2%、議員の期末手当を0.15月分引き上げるものです。人事委員会の勧告による県職員の給与や勤勉手当の引上げに合わせると言いますが、特別職である知事や議員は職員に絶対合わせなければならないというものではありません。そして、今回の人事委員会の勧告は、県職員の給与が民間より安くなっているので、引き上げるというものであり、そこで示されている県職員の平均月額給与は34万円、議員報酬月額はその2倍以上の77万9,000円です。同列に扱うことはできませんし、コロナや物価高騰で県民生活が大変になっているときに、議員報酬を上げるべきではありません。
また、今回、県職員が引き上げる手当は勤勉手当です。知事や議員には勤勉手当はなく、あるのは期末手当です。令和2年度の知事の給与に関する有識者会議で、職員の勤勉手当の引上げ分を知事の期末手当に反映してこなかったので、知事の期末手当が他県に比べて非常に安くなっているとされ、だから、今回、職員の勤勉手当の引上げに合わせて知事の期末手当を引き上げるとしています。しかし、有識者会議がこうした結論を出した令和2年度とその翌年の令和3年度、まさに
コロナ対策で県職員が大奮闘していたそのさなか、県職員の勤勉手当も期末手当も下げられています。それなのに、そのとき、知事も議員も期末手当を引下げはしませんでした。職員の手当が下がったときに下げないでおいて、今回上がるときに知事や議員も手当を上げる。こんな御都合主義はありません。そもそも期末手当で言えば、県職員より知事や議員のほうが0.29月分多いのです。職員並みに引き下げるべきだと思います。
また、今回、まるで政府の軍事費倍増のやり方のように、上げることだけは決めておいて、実行するのは選挙後、統一地方選挙での批判を避けるためのこそくなやり方です。議員報酬と期末手当を引き上げるべきではありません。よって、本議案に反対です。
次に、議員提出議案第3号「マイナンバーカードの普及状況を地方交付税や各種交付金に反映させることに反対の意見書」に賛成の討論を行います。
マイナンバー制度は、日本に住む全ての国民、外国人に生涯変わらない12桁の番号をつけ、各行政部局などに散在する各自の個人情報を名寄せしたり参照したりして、行政機関が活用するものです。2015年10月から番付がされ、2016年1月から希望者に対し顔写真やICチップの入ったマイナンバーカードが交付されていますが、このように政府が国民一人一人に番号をつけて個人情報を名寄せして利用すること自体、国家権力によるプライバシーの侵害であり、そして、マイナンバーカードを通じて個人情報が漏えいする危険性もかねてから指摘されてきました。それなのに、政府は今年度末までに全ての国民にマイナンバーカードを持たせるのだとして、国民がカードを使わざるを得ない状況をつくり出してきました。マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにすることや、運転免許証とマイナンバーカードの一体化、また、来年度からは医療機関などにオンライン資格確認の導入を義務づけ、保険証は原則廃止を目指すとしてきました。しかし、それでもマイナンバーカードの取得率は6割程度にとどまり、それで焦ったのか、岸田総理や河野デジタル担当大臣が再来年秋と期限を切って健康保険証の廃止、マイナンバーカードとの一体化を表明し、カードを持たない人は保険診療が受けられなくなるのではと大きな不安が広がっています。持ちたくもないマイナンバーカードを強制し、それができないなら、健康保険証を取り上げる。国民の医療を受ける権利の侵害であり、国民皆保険制度を崩壊させるものです。断じて許すわけにはいきません。
さらに岸田政権は、各自治体のマイナンバーカードの交付率を地方交付税の算定に反映させることや、地方創生関連の3つの自治体向け交付金をデジタル田園都市国家構想交付金に再編して、マイナンバーカードの普及率が全国平均以下の自治体には交付金を出さないとか、全住民がマイナンバーカードを持つことを目標に掲げなければ、交付金を申請させないなどと自治体を脅しています。
地方交付税は、自治体間の財政格差を是正し、自治体が住民のために仕事をするために欠かせない重要な財源です。また、地方創生に関する3つの自治体向け交付金は、人口減少対策や少子化対策など、地方自治体が地方の課題解決のために使っているものです。それを、マイナンバーカードを推進したいという政府の思惑に利用するなどということは言語道断、あってはならないこと。地方自治に対する侵害です。
そして、なぜここまで岸田政権が強権的にやろうとするのか。マイナンバーカードは、財界が求めてきた税と社会保障の一体改革の具体化です。国民一人一人に番号をつけて、個人の税金や社会保険料の納税状況を把握し、あなたの納めている税金はこれだけだから、これだけしか社会保障は受けられませんよと。つまり、本来、国が責任を持って行うべき社会保障を自己責任の制度へと後退させ、国が社会保障にかけるお金を減らし、それで浮いた税金を財界のために使っていく。こうした財界奉仕の岸田政権の政治を具体化したマイナンバーカードを地方交付税とリンクさせ、国民の生存権と地方自治を破壊するやり方は絶対に認められません。よって、この意見を国に上げる本議案に賛成であることを述べ、私の討論を終わります。
◯議長(
内田博長君)これをもって討論を終結いたします。